ギンガハゼとニシキテッポウエビ、異種間の不思議な共生を語ってみる

アクアライフのススメ

ギンガハゼとニシキテッポウエビを飼っています。”種”を超えた共生は強い信頼関係で結ばれているように感じます。
写真や映像とともに共生の特性や飼い方、導入について紹介します

この記事で分かること
ハゼとテッポウエビの共生について
水槽でのハゼとテッポウエビの共生のさせ方

スポンサーリンク

ハゼとテッポウエビの共生とは

共生はウイッキペディアではこう定義されています。

共生(きょうせい、SymbiosisあるいはCommensal)とは、複数種の生物が相互関係を持ちながら同所的に生活する現象。共に生きること。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

となっています。さらには共生現象のうち利害関係が分かりやすいものにはそれを示す名が与えられています。

  1. 相利共生(そうり – ) … 双方の生物種がこの関係で利益を得る場合
  2. 片利共生(へんり – ) … 片方のみが利益を得る場合
  3. 片害共生(へんがい – ) … 片方のみが害を被る場合
  4. 寄生(きせい) … 片方のみが利益を得、相手方が害を被る場合
我が家のハゼとテッポウエビの共生

今回のハゼとテッポウエビの共生については、テッポウエビが巣穴を作り、ハゼがその巣穴を共有させてもらう代わりに、視力が弱いテッポウエビに危険を知らせる、というのが一般的な関係です。
そうすると、1の相利共生という関係に当たります。

手に入りやすい種類として、共生するハゼではギンガハゼ、テッポウエビではニシキテッポウエビがあり、こちらを飼育していますので紹介していきます。

ギンガハゼとは

黄色い体に水色の斑点が顔から背びれまで散らばっているきれいな魚です。黒い個体もいるようですが、流通しているのはほとんど黄色の個体のようです。
家のはたまに目の下が黒くなる時があります。

丈夫な種類で、一度失敗して水温高くなってしまったときがあったのですが、体調崩すことなく普段通りでした。

大きさは最大でも10㎝程。そんなに泳ぎまわる魚では無く、テッポウエビの掘った巣穴入口に陣取ってエサが流れてくるのを待ちます。

巣穴入口周囲10㎝くらいに近づいた魚を威嚇して追っ払うくらいなので、混泳は可能です。
同種の同じ性別ではケンカするそうですが、ペアでは仲良く同じ巣穴に入るそうです。
私もペアで飼ってみたいのですが、性別が分からないので追加導入を躊躇しています。今いる個体は顔つきはおっさんのように見えるのでオスかもしれませんが。

エサは市販のフードをよく食べます。うちはキョーリン 海水魚の餌 プロバイオティクス メガバイトレッド Sですが、良く食べます。ブラインシュリンプも食べます。
一方植物食ではないようで、苔や海藻等は食べないようです。

ニシキテッポウエビとは

テッポウエビとは立派なハサミを二対もっているエビの種類で、左側のハサミを鳴らして大きな音を立てるエビです(ハサミの形状は左右違います)。
家で飼っているのはニシキテッポウエビという種類のテッポウエビになります。

カラフルな体色で人気のテッポウエビです。触覚は赤く、目は小さいです。
体調は最大でも5㎝くらい。
目が悪いのでハゼと共生していると言われますが、単独でいるときに魚の影や、水槽越しでこちらが動くとさっと巣穴に入るので、結構見えているのではないかと思います。

ハサミは左右異形で、左のハサミは”パチン”と音を立てる威嚇用です。右のハサミは小石等を器用に持って巣作りに使います。
両方のハサミをV字にして砂を押し出します。腹びれを使って後方に砂を送ったりもします。

ニシキテッポウエビのハサミは左右異形



巣はライブロックの下に作り、出口は毎日数時間毎くらいに変更します。危機管理のためかもしれません。
使わないときの出口や、夜間暗くなった後は出口を砂でふさぎます。

エサですが、ギンガハゼと同じくメガバイトレッド Sを入れると反応し巣穴出口あたりに出てきますので動物食かと思います。
そんなにエサ食べれていないと思います(ギンガハゼが片っ端から食べるので)。それでも長生きしているので、他にも食べているのかもしれません。
一度水質浄化の目的で生きているアサリを入れたときがありましたが、後日殻が割れて中身が無い状態になっていました。家の水槽の生物でアサリの殻を割れるのはテッポウエビくらいかと思いますので、二枚貝ももしかしたら食べるのかもしれません。
今後もよく観察していきたいと思います。

あるとき重要な左ハサミが無い時がありました。無くなった原因はよくわかりません。
右ハサミだけで苦労して巣を修正しているように見え、このままだと☆になってしまうのかなと心配していました。
しかし、数週間後はしっかり左ハサミが復活していましたので、脱皮のタイミングで再生したのでしょうか。生命力の強さを感じました。
それ以外は特に体調崩したようなことはなく、けっこう丈夫な種類かと思います。

ギンガハゼとニシキテッポウエビの動画

ギンガハゼとニシキテッポウエビの共生は実際に見ないと面白くありませんので、観察動画を作って見ました。

共生の観察

ギンガハゼとニシキテッポウエビを観察していると、ほんとに相利共生という関係だなと思わされます。全然異なる”種”なのに、堅い信頼関係があるように思えてなりません。

ギンガハゼとニシキテッポウエビの共生について気付いたことを書いていきます

周囲を警戒する

よく見る光景は巣穴の出口でギンガハゼが見張りをしている光景です。
ハゼ特有の丸い腹ビレで砂上に位置し、数分間同じ場所にいます。
すると巣穴からニシキテッポウエビが出てきて巣穴の修復等やりだします。常に赤い触覚をギンガハゼの体に接触させ、ギンガハゼからの警戒信号を受けられるようにしています。

巣穴から20㎝くらい出てくる時がありますが、その時も二匹一緒に出てきます。
ニシキテッポウエビが行きたい方にギンガハゼも付き合っているように見えます。
相当な信頼関係があるんだなと思われます。

巣穴について

ニシキテッポウエビはライブロックの下に穴を掘ります。巣穴の出口は5か所くらい用意しているので、毎回違うところからギンガハゼが顔を出しています。
最初巣穴出口は一ヶ所だけかと思っており、水槽裏側に巣穴出口を作られたら見えないなと心配していましたが、杞憂でした。

家の場合は中央部のライブロックの下に巣穴を作っています。
イソギンチャクの触手が下に来るようなときは、その巣穴を使わないので、うまく一緒に飼うことができています。

夜ライトが消えて暗くなるとギンガハゼは巣穴に入り、ニシキテッポウエビが巣穴の出口をふさぎます。
ギンガハゼとしてはものすごく安全な住処を得ていますよね。

威嚇相手のすみ分け?

ニシキテッポウエビの左のハサミは”パチン”と音を立てて威嚇することができます。威嚇する相手は巣穴に近づくヤドカリや他のエビ、貝等に向けられます。
一方、ギンガハゼはヤドカリや他のエビ等は一切無視です。近づく他の魚を追い返します。威嚇相手のすみ分けもしているようです。

ギンガハゼとイソスジエビ

食事の共生は?

食事はまったく共生していないように見えます。
エサをゆずりあったりする光景は見たことがありません。

トリートメント?

ニシキテッポウエビがギンガハゼの体を細い足でさわさわしているのを何度か見ています。
やられているギンガハゼもいやがらないので、寄生虫等取っているのでしょうか?
ニシキテッポウエビはものすごく献身的です。

パートナー変更

これだけ信頼関係があるテッポウエビとハゼの共生ですが、片方がいなくなったらどうなってしまうのか?新しいパートナーとやっていけるのか?についてはイエスです。

最初我が家のニシキテッポウエビヒレナガネジリンボウというハゼと一緒に導入しました。もちろんすぐに共生を始めました。ただし、ヒレナガネジリンボウは2週間くらいで見なくなってしまいました。何かしらの原因で☆になってしまったのだと思われます。
カラフルな体色で可愛かったので残念です。

我が家に導入したヒレナガネジリンボウ

そこからニシキテッポウエビの単独飼育となったわけですが、見るからにおどおどして落ち着かない様子でした。こちらも引きつづき共生を見たかったので、ギンガハゼを導入しました。

水合わせ後水槽に入ったギンガハゼは初めての環境なので、ライブロックそばの砂の上でぼっとしておりました。
するとニシキテッポウエビがするする寄ってきて、触覚ですりすりし始めました。明らかに他の魚にはしない行為なので、共生する相手と分かったうえでの行動のように思えます。
前のパートナーのヒレナガネジリンボウとは柄も全然違うんですけどね。どうやってニシキテッポウエビが判断しているのか、謎が深まるばかりです。

ただギンガハゼの方はまだぼっとして、ニシキテッポウエビのアピールを無視していました。

翌朝はしっかり共生パートナーとなっておりました。

飼い方

実際家で飼っている状態を紹介していきます。

水温や水質にも強いようですが、家では水温は25±1℃、週に1度10%弱の水替えを行っています。

巣作りの材料

巣穴を掘るという特性から、底砂は必要です。砂の種類もパウダースノーは避け、粒が見えるくらいのサンゴ砂がいいと思います。また、貝殻やサンゴのかけらなど巣作りに使えそうなのを入れてあげると、巣穴に引き入れてせっせと巣作りに活用します。

水槽プチリセットしたときに、ライブロックをすべてどかしたときの写真です。巣穴があった辺りに貝殻や大きめのサンゴ砂が集まっていました。

ライブロックを置く台座を用意する

テッポウエビがライブロックの下の砂を頻繁にいじりますので、ライブロックを置く台を用意します。
これがないとレイアウトが頻繁に崩れてしまうばかりか、最悪テッポウエビが崩れた大きめのライブロックに圧し潰されてしまう可能性もあります。

3㎜厚の塩ビ板とφ10㎜のアクリルパイプを使って自作すると安く上がります。

混泳について

10㎝クラスのハゼやエビを捕食する大型肉食魚は論外として、攻撃的な種類ではありませんので、混泳に向いているのではないでしょうか。

うちでは大型イソギンチャクがいるのですが、うまく共存してくれています。

我が家の導入記録

我が家の導入記録を参考に記載します。

2018/09/02 
ハタタテネジリンボウニシキテッポウエビ共生セットを通販で導入ニシキテッポウエビは3㎝くらい。ハタタテネジリンボウは2㎝くらいの小型サイズ。

2018/09/23  
ハタタテネジリンボウを見かけなくなる。ニシキテッポウエビがが不安そう(に見えた)にする
 
2018/10/20 
黄色いボディに魅かれてギンガハゼを通販で導入。3㎝くらい。ギンガハゼが来てからテッポウエビの掘るエリアが広がりました。 

水合わせ中のギンガハゼ
共生し始めのころ。体長はどちらも同じくらい

2021/6   
現在 ギンガハゼはニシキテッポウエビの体長の倍の8㎝くらい。ニシキテッポウエビは4㎝くらい。

今ではこの貫禄

まとめ

SON
SON

ハゼとテッポウエビの共生についてと、我が家のギンガハゼニシキテッポウエビの紹介をしました。こういう変わった生き物が飼えるのも海水水槽の良さだと思います。

コメント