電動バイクについて。10年乗ってみて分かったこと【35,000㎞突破】

バイクのススメ

私は2010年にHondaからリース販売された電動バイクに縁あって乗っています。もう10年以上乗り続けていますので、いろいろ分かってきたことがあります。
これからエミッションゼロな乗り物として排ガスゼロの電動バイクは広がっていくと思いますので、電動バイクについて、また私が乗っているEV-neoについて紹介していきます。

この記事で分かること
電動自動車(EV)は認知されてきたけど、電動バイクってどうなのか?について

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電動バイクについて

電動バイクとは

電動バイクとは、ガソリンエンジンの代わりに電動モーターで推進力を得るバイクのことです。普通はバッテリーを搭載し、充電した電気を使って走行します。
TV東京の出川哲郎の充電させてもらえませんか?という番組で使われることで、電動バイクが一気に有名になりました。
ちなみにこのバイクはYAMAHAのE-Vinoという電動バイクです。

出展@YAMAHA HP

おじさんには似合わないかわいらしいデザインで、バッテリーはシート下に入る着脱式です。1回の充電で約3時間。約29km走行できます。

電動バイク、いいことよくないこと

電動バイクは排ガスを出さないのでクリーンな乗り物と言えますが、それ以外のいいこととして

  • 静か … 停止中はまったく音がしません
  • 熱くない … エンジン熱がないので、足回りが熱くなりません
  • ガソリンスタンドに行かなくて良い 
  • メンテナンス費が安い … オイル交換等いらない

といいことがあるのですが、それ以上によくないことがあるのでまだ街中ではほとんど見ません

  • 航続距離が短い
  • 販売価格が高い … バッテリやモーター、モータードライバが高いです
  • 種類が少ない 
  • バッテリーが空になると、充電されるまで乗れない
  • バッテリーが劣化すると、交換費用が高い

等々あります。やはり大きいのは航続距離が短いことでしょうか。普通のガソリンスクーターなら100km以上走行できてしまうので、比較するとかなり短いということになります。
例えば先ほど紹介した、 E-Vino では、ガソリンタイプとSPECを見比べるとあきらかに劣っているように見えます。

E-Vinoビーノ
1充電(充填)走行距離29㎞
30km/h 定地走行テスト値
360㎞
80L/㎞×4.5L
30km/h 定地走行テスト値
最高出力1.2kW(1.6PS)/3,760r/min3.3kW(4.5PS)/8,000r/min
車両重量68㎏81㎏
販売価格259,600円
[消費税10%含む]
203,500円
[消費税10%含む]
YAMAHA HPより

ガソリン車のビーノと比べると、走行距離で12倍、最高出力で3倍の差がありながら販売価格ではE-Vinoの方が高い(定価比較。電動バイクは補助金が出るので、実際はもう少し安い)です。
SPECだけを比較されると、電動バイクはガソリン車にはかなわないのが現実です。

実走行距離は思ってたほど長くはない

電動バイクの航続距離が短いからといって、使えないかというとそうでもないのです。
一日の走行距離は、業務で使う以外ではそう長くはなく、電動バイクの航続距離以下であれば、十分使えることになります。

ホンダの電動バイク

YAMAHAの電動バイクを紹介しましたが、ホンダも電動バイクを出しています。
2010年にEV-neoという業務用バイクをリース販売しています。

EV-neoとは

Mr.Bikeに今はもうない旧国立競技場での発表会時の詳しい記事が載っていますが、新聞配達やピザ配達用として使えるバイクとして開発されました。

航続距離が34km(30km/h定地走行)と短いため、搭載したリチウムイオン電池(東芝製 SCiB)の急速充電製を生かし、20分で充電できるように急速充電器(単相200V)も用意されていました。(100Vでの普通充電器では約3.5時間)

コンセプトは業務用バイク

静かなこと、また排ガスを出さないエコな乗り物として、環境問題に取り組んでいる業務向けに開発されたEV-new 。
業務向けへのリース販売ということで、車体はリヤには荷物が乗せられるような平らなデッキを備え、フロントもカゴがつくような形状をしています。

搭載されたリチウムイオン電池は使ってると熱くなってきて、ある温度まで上がると使用を制限しなくてはならないので、急速充電器を組み合わせたハードな使い方でも制限がかからないように、リチウムイオン電池を冷却するファンと冷却流路が設定されています。

最高出力2.8kWが出せるので、30kgの荷物を搭載しても坂道をぐいぐい登っていく動力性能があります。

ピザハット鴨居店で使用されてました 出展:Panasonic HP

SPEC

定格出力が0.58kWと、0.59kW以下なので原付一種(50cc相当)になります。電動バイクの場合バイクの性能が分かるのは最高出力の方です。YAMAHAの E-Vino の最高出力が1.2kWなので、同じ原付一種ですがEV-neoは2倍以上最高出力の差があるということになります。
電動バイクのカテゴリー分けが”定格出力”になっているのが分かりにくい要因となっています。

車名・型式ホンダ・ZAD-AF71
全長(m)× 全幅(m)1.830 × 0.695
車両重量(kg)106
定格出力(kW)0.58
最高出力(kW[PS]/rpm)2.8[3.8]/5,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm)11[1.1]/2,000
メインバッテリー種類リチウムイオン電池
メインバッテリー電圧/容量72V-12.6Ah(1HR)
一充電走行距離(km)34(30km/h定地走行テスト値)
クラッチ形式乾式多板シュー式
タイヤ(前・後)90/90-12 44J・100/80-12 56J
Honda HPより

バッテリ交換式の電動バイク

最近また電動バイクが注目されるようになってきました。ホンダでは着脱式バッテリを搭載した電動バイクが立て続けに出てきました。

PCX ELECTRICBENLY e: ⅠBENLY e: ⅡGYRO e:
乗車定員(人)2
定格出力(kW)0.980.580.98 0.58
最高出力(kW[PS]/rpm)4.2[5.7]/5,5002.8[3.8]/3,0004.2[5.7]/3,9003.2[4.4]/5,800
一充電走行距離(km)41(60km/h定地走行テスト値)
〈1名乗車時〉
87(30km/h定地走行テスト値)
<1名乗車時>
43(60km/h定地走行テスト値)
<1名乗車時>
72(30km/h定地走行テスト値)<1名乗車時>
販売方法企業、個人事業主、官公庁に限定したリース専用法人向けに販売
販売価格737,000円737,000円550,000円
バッテリ、充電器除く
Honda HPより
モバイルパワーパック

全車は共通の着脱式バッテリの モバイルパワーパック で動きます。BENLY e:は東京中心に郵便配達にも使われ始めていますね。

国内では大手4社で統一したバッテリ、充電インフラを使う方針で電動バイクの開発が進められています。近い将来、電動バイクで長距離ツーリングができるようになるのかもしれません。
これは私の密かな夢でもあります。

電動バイクEV-neoに10年乗ってみて分かったこと

さて前置きが長くなってしまいましたが、私は2010年からEV-neoという電動バイクに乗っています。用途は通勤と近場の買いもの用の足として使用しています。 EV-neoはもう手に入らないのでおススメできませんが、”電動バイク”は環境にやさしい近距離移動手段だと思います。

EV-neo動力性能について

EV-neo動力性能についてですが、坂道でも問題なく登っていきます。下り坂ではエンジンブレーキならぬ回生ブレーキがかかりますので、減速した分モーターで発電されてバッテリに充電されます。ガソリン車ではブレーキで熱として消えているのでお得です。
またアクセルに対しきれいにモーターが追従しますので、微妙なコントロールはガソリン車よりもやりやすいです。

実は季節によって微妙に動力性能が変化します。冬場はバッテリが温まらないうちは動力性能が制限(バッテリを保護するため出力を絞る制御)されたりします。また航続距離も少し短くなります。
原因はバッテリーの温度が低い(0℃近辺)と内部抵抗が上がるので、同じ出力を出すには電流が多めになってしまいます。すると同じ距離を走るにに必要な電気量が冬場は増えてしまう現象が起きます。

エンジン振動が無いので、走行中の振動は路面振動くらいです。敷きなおしたばかりの路面がきれいな道路を走るとほんとに振動なくて感動します。

静かすぎて危なくないか

電動バイクはエンジン音がしないので静かです。ただ走行するとモーターやギヤから音がしますので無音では無いです。10年前は歩行者等気づいてくれなくどいてくれないことがあったのですが、最近はあまりありません。おそらく電動走行する自動車が増えたので、歩行者も警戒してくれるようになったのではないかと思います。

停止中は無音ですので、ほんとに静かです。

航続距離について

EV-neo は搭載されているリチウムイオン電池は外せないため、出先で電欠(充電量が0になり走行できなくなること)になると困ります。残量計がある程度残っている状態で充電器があるところまで戻ってくるという使い方になります。
実際の航続距離は実質20km弱くらいです。
近所の買い物では全然問題ありません。
通勤では私の場合は会社まで14㎞程。許可をもらって会社でも充電させてもらっているので、通勤では航続距離の短さは気にならず問題なく使えています。ただし遠回りな寄り道はできません。

充電しているとき。ステップにあるのが充電器です。約3時間ほど充電にかかりますので、帰ってきたら充電器をつなげて充電するという使い方です。

充電リッドを開け、充電ソケットを挿します。

EV-neoの経済性

EV-neoは維持費が安いので経済性が高いです。今まで約35,000㎞乗ってきましたが、私の所有しているスーパーカブ110(JA07)で35,000㎞走行したときの維持費を試算し、比較計算してみました。

車名EV-neoC110
カテゴリ電動バイクガソリンバイク
画像EV-neo
走行距離(10年間)35,000km 35,000km
平均電費/平均燃費26.7Wh/km ※150km/L ※2
使用電力量/燃料934kWh700L
使用電力量(充電効率85%)1,099kWh
電気代(東京電力 25.91円/kWh)\28,467
燃料代(160円/Lで計算)\112,000
メンテナンス費(オイル交換1回/年)\15,000
合計 \28,467\127,000
※1:72(V)x12.6(Ah)÷34(㎞)カタログより ※2:私の平均猿臂

経済性を単純比較すると10年35,000㎞乗ると、費用合計差額は約98,000円にもなりました。

ただ注意してほしいのは、10年バッテリ交換無しで乗れているのはEV-neoだから(高寿命のバッテリが使用されている)ということがあります。安い中国製の電動バイク等ありますが、動力用バッテリは10年もたないと思いますので、そういう場合は途中バッテリ交換費が入って逆転される、ということが考えられます。

しかし対比したスーパーカブ110でも10年間35,000㎞走行して、ガソリン代が11万円というのは安いですよね。

災害に強い移動手段

災害に強いとはどういうことかというと、災害時最も早く復旧するインフラは”電気”です。その電気で充電して走行できる電動バイクは災害に強いと言えます。

実際2011年の東日本大震災の時、スーパーカブはガソリンを入れることができず当面乗ることができませんでした。一方計画停電はあったもののEV-neoは家で充電できたので、通勤に心配なく使うことができました。この時は電動バイクのありがたみを身をもって体験することができました。

電動バイクEV-neoに10年乗ってみて

スーパーカブ110(JA07)と併用して乗っているのですが、もう10年以上乗っています。航続距離が短いことや原付一種登録という不便さがあるものの、ついつい電動バイクに乗ってしまいます。

家で充電できるという手軽さ経済性が良いこと、また運転しやすいことがあると思います。
エンジンが無いことでエンジン振動ありませんし、下からの熱もありません。キーンというモーター音がエンジン音には無い近未来的な感じるのも魅力です。

20,000㎞時

経済性のところにも書きましたが、メンテナンスがタイヤの空気圧くらいなので、手がかからないのも魅力となっています。

まとめ

SON
SON

電動バイクについて紹介しました。私の乗っているEV-neoは手に入らないのでおススメできないのですが、”電動バイク”は環境にいい移動手段だと思っております。
これから各社電動バイクがいろいろ出てくるのではないかと思われますので、電動バイク注目してみてください。

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